岐阜市街から車を走らせること1時間。
Cornierの素材を作っている工場が見えてくる。
世界の名だたるトップメゾンの生地を手がける機屋だ。
ここでは設計から製織に関わる工程を、一貫して数人の職人が行っている。
原料の特性を理解し、その特性を最大限引き出すことで独特の風合いを持つ生地が作られていく。
生地の設計書。この設計書を元に多くの生地が生み出されてきた。
Cornierでは、ここでポプリンと呼ばれる平織の生地を作っている。
経糸にオーストラリア産の極細ウール原料から紡績した梳毛糸、緯糸にはシルクの生糸をかけ、特殊な織機で超高密度に織り上げていく。
ウールのドレープ性を出しながら、緯糸に打ち込まれた生糸の少し硬いカリッとした風合いを感じることができる。
表面にはシルクの鈍い光沢感が差している。
使い込まれた工具箱。今では貴重となった古い織機もここではまだまだ現役だ。
織機や糸番手によって使用する綜絖も変わってくる。織る生地に合わせてあらゆる綜絖がストックされている。
尾州産地に数ある機屋の中でも、機屋が認める機屋は数少ない。
「あそこでしかできない。」
多くの機屋が口を揃えて言う。
ここで生み出される生地はどれもが上品で、他所にはないマニッシュさを持っている。
半世紀以上多くのトップメゾンを相手に生地を作り続けてきた所以だ。